Prune.

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2019-01-01から1年間の記事一覧

【超短編エッセイ】La nuit―夜

たまっている下書き記事が大量にある。いずれ然るべきタイミングにアップすればよいのだけれども、然るべきタイミングとやらが来るのかどうかは分からない。 夜は深く、深海のなかにいるような気分になる。 美しい音楽が夜を彩れば、夜の部屋の灯りは少しで…

【短編小説】Matters of Concern

冷房をガンガンに効かせた部屋なのに、少しエアコンの風が弱くなると途端に暑く感じてしまう。暑がりは、外に出られないし、暑がりは、黙ってエアコンの効いた自宅で読書をしたり、音楽を聴いたりしている方が良い。 ただの霧みたいな、ただの雨みたいな、た…

【短編小説】偽物と本物、あるいはその脱構築

偽られた顔を眺めて、本当のことは決してこの口から語られることなどないのだろうと思う。なぜなら、僕も嘘をついていて、結局のところはお互い様だったからだ。 「大したことはない」と彼は言う。僕はそんなふうに楽観的にはいられないんだ。本当は大したこ…

言葉、エクリチュール、ポエティック、諸々の実践

言葉で確かめるような日々の実践がある。文学、歌詞、詩…言葉がいろいろなものを広げていく。 僕は明日を、言葉で確かめていく。同時に過去をも。 すべては読み替えの実践だった。僕はテクストを読み替える。読みの快楽のなかで、僕たちは「はじめまして」と…

【短編小説】Synthétique

Tout s'embrase dans mes rêves synthétiques. (Zarba par Therapie TAXI) 総合的で、連鎖的な、事物そのものが問いかける真実という構築物。全ては意味のなかで溶け合い、身体において統合され、文化のなかで形態を獲得する。 混ぜ合わせたアイスクリームは…

【短編小説】なんにも得られないこの街で

▼Homecomings「Blue Hour」に最大限のオマージュを。 Blue Hour Homecomings ロック ¥250 provided courtesy of iTunes なんにも得られないこの街で。なんでもあって、なんにもないこの街で。 分からない正体不明の人が、この人は無能だとか、この人はいけ好…

【短編小説】SUNDAY SONG / SHE SUNG

▼Richard Beirach「SUNDAY SONG」に最大限のオマージュを。 SUNDAY SONG リッチー・バイラーク ジャズ ¥200 provided courtesy of iTunes 日曜日の朝、彼は買ったばかりの飲むヨーグルトを捨てる。 彼は別にヨーグルトの味に不安があったわけではなかった。…

【短編小説】We Never Know

▼HAIM「You Never Knew」に最大限のオマージュを。 You Never Knew ハイム オルタナティブ ¥250 provided courtesy of iTunes 高速道路に沿って続く、いくつかのマンションを眺めて。 沢山の部屋に灯りがついているのに気づくでしょう。おそらくそれは暖色で…

撒かれたものを拾うということ

撒かれたものを拾うということ。何もかもが見つからないような夜の海の底から、拾い物を探すように彼は目を皿にする。遠くで点滅するいくつもの光。飛行機。ここがどこだって構わない。もはや場所は、場所ではなくなったような気がしてしまう。 間違っている…

円環的な「消費する欲望」の当事者として + 商品で記号を纏うということ

近頃は、ミニマリストなどに代表される「本当に良いものを少なく持つ」という言説をベースに、そのような生活を実践している人が多いような気がする。 僕自身も、最近たくさんものは買わないけれど、その代わりにとびきり良いものを買うという消費の在り方も…

星野源「Pair Dancer」に関する雑文(あるいは、他者と間違いについて)

星野源、待望のニューアルバム『POP VIRUS』を一通り聴いた。 星野源を最初にきちんと聴いたのは、2013年のことだったと思う。iTunesのライブラリを確認する限りではそうなっている。 ずっと追っていたわけではないので、あまり詳しいことは言えないんだけど…