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Prune.

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イギリスのEU離脱について、もの想う

24日の国民投票の結果、イギリスがEU(欧州連合)から離脱することが決定した。

僕はバイト先で仕事をしながらずっと開票の様子を追っていたんだけど(バイトもメディア系の仕事をしている)まさかこんなことになるとは。驚きとしか言いようがない。

事前の予測では拮抗していると見られていたものの、僅かに残留派のポイントが高いとされていた。もちろん数パーセントの誤差が生じることはあるから、離脱となる可能性もなきにしもあらずの状況ではあった。しかし、有識者の間でも残留との予想が圧倒的多数派だったことは言うまでもない。

そして蓋を開けて見ると、「離脱派多数」でEU離脱が決定。つくづく民主主義って怖いというか、ある意味ちゃんと機能しているんだなと実感した。もしかすると、どちらにするか決めかねていた一部の層が離脱派に流れて、このような結果となったのかもしれない。

しかし、離脱派残留派のポイントの差異は小さく(と言っても百万人程度の違いはある)国民の意見がきっぱり二分したと言えるのではないか。このような状態は決して望ましいとは言えない。なぜなら、国民の意見が二分しているということはイギリスという国を現在の形で維持することが難しくなる可能性が極めて高いということを示唆するからだ。

イギリスの正式な国名、United Kingdom of Great Britain and Northern Irelandから分かるようにイギリスは複数の国から構成されている。イングランドウェールズスコットランド北アイルランド。この4つの国のうち、EU残留派が過半数を占めたスコットランド北アイルランドでは今独立の気運が再び高まりを見せている。2014年にスコットランドではイギリスからの独立の賛否を問う国民投票が行われたことは記憶に新しいが、このときの結果はイギリス残留を支持するポイントが独立支持を上回り、SNP(スコットランド国民党)ら悲願の独立は実現しなかった。

しかし、ここに来て再び独立の動きが加速している。国民投票の結果、スコットランド北アイルランドではEU残留が過半数を占めたのだからイギリス全体としてのEU離脱には賛成できないということだ。

経済面でも不安は広がっている。投資家たちの株式市場への不安感を示すVIX指数(恐怖指数)は急上昇しているし、EUという後ろ盾を失うがため、世界でも有数の通貨であるポンドの信用が低下することは避けられない。イギリスが新しい方向へ向かうということは、市場にとっては危機感が高まることに同じだ。

有名チェーンのフランチャイズ店だったラーメン屋さんが、独立しフランチャイズを抜けるようなもの。それではお客さんも不安になること間違いない。これまでの味はどうなるのだろうか、値段は…はたまた潰れたりしないだろうか。そんな雰囲気のことが今イギリスでも起きていると考えてほしい。

世界は戦後、国際協調主義やグローバリゼーションに則って、各国で連携を図りながら助け合いの道を模索してきた。EU誕生自体、そのような国際協調の意図があっただろうしギリシャのような経済危機にある国を裕福なドイツのような国が助けるという構図が実現するのもこのような考え方が前提にあるからだ。

しかし、ここに来てEUからイギリスが脱退となると話は大きく変わってくる。EUの中でも大国である(米国以前は強大な覇権国家であったという歴史的背景を忘れてはいけない)イギリスが脱退となれば、EUの求心力が低下することは火を見るよりも明らかだ。今後はドイツなどEU主要国がどのようなアクションを示すことができるかにも注目したい。

そして今回のイギリスEU離脱の動きを受け、EU加盟国内でも同様のムーブメントが起こり得ることにも注視しておきたい。もちろん、ユーロを採用している国がEUを離脱することはイギリスの場合より相当に難しいことは頭に入れておきたいが(イギリスはEU加盟国ではあるものの、貨幣に関してはEU共通通貨であるユーロを採用せず自国の独自通貨であるポンドを利用していた)既にフランスの右派政党である国民戦線などはフランスでも同様の国民投票を行いEU離脱を検討すべきとの意見を呈示していることも事実だ。そして、より広義に今回の現象を考えるとEU自体の存続が危うくなる可能性も十分に考えられる。主要国でEU離脱の気運が高まったりすればEU自体の持続性や権威が低迷してしまう。EUが崩壊したら、それは今回のイギリスEU離脱どころの話ではない、歴史的一大事になることは容易に想像できる。

さて今回の英国民の選択エスノセントリズム的(自国の利益や自民族の文化を優越的に捉える姿勢のこと)と言えるため、国際協調主義的な姿勢が求められる昨今においては一つのエポックとなり得るものだと思う。

しかし景気が悪化したり、治安が悪化すればそのようなエスノセントリズム的な考えが台頭してきてもおかしくはない。その国の国民の根幹を貫く国家的なアイデンティティとも今回の選択は関係してくるだろうし、イギリスという国の今後、もっと言えばイギリスの未来を考えたとき英国民は今回の投票をEU離脱の好機と捉え、投票したのかもしれない。

ただ昨今の経済が世界規模で回っていることを考えると、英国民の今回の選択はイギリスだけに留まらず、世界各国に多大な影響を及ぼすことは自明だ。

イギリスのポンド不安が高まれば、ポンドの代わりに日本円を買う動きが高まる。その結果、円高傾向に拍車がかかることは明らかだ。円高傾向になれば国内輸出産業は基本的に低迷するから、巡り巡って景気の悪化ということにもなり得るだろう。就職難や給与カットなど身近な問題も、元をたどれば他国の影響ということがあり得るのが現代の経済だ。

実際のEU離脱は早くても2年後となるため、すぐに離脱ということにはならないが離脱までの過程、そして離脱後の行く末が不透明なため、今後の経済や社会がどうなっていくのかというのは極めて予想が難しい。

今後のイギリスの動向に目が離せない。それにしても、すごい1日だった。