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【今注目のアイドル音楽4曲】意外と知られていない"良曲"のアイドルソングを集めてみた

しばらくブログを更新していなかったので、久しぶりに更新。

どんなことを書こうかと悩んでいたけれど、やっぱり一番得意な音楽のことを書きたい、それも今まであまり書いてこなかったものをー。ということで、今回はアイドルソングを取り上げたいと思う。アイドルソングとは、その名の通りアイドルが歌う音楽のこと。

でも、AKBや乃木坂だと、あまりにメジャー過ぎるので今回はインディーなどを含めたいくつかのアイドルソングを紹介。

lyrical school / マジックアワー

アイドルラップの先駆け的存在だったlyrical schoolの最新曲。CD音源も良いけれど、ライブに行って聴くとさらに楽しいんじゃないか、と思わせてくれるような楽曲だ。女性ラップということもあり、全体的に軽快なんだけど、それでも甘ったるかったり、"本物"らしさが失われることは決してない。メロディアスなサウンドと、彼女たちのラップが完全に混ざり合っていて、何度も聴きたくなる。

■フィロソフィーのダンス / オール・ウィー・ニード・イズ・ラブストーリー

ナンバーガール相対性理論などを見出した加茂啓太郎がプロデュースする、肝いりのアイドルグループ。音楽好きなら、イントロを聴いただけでソウルやディスコサウンドから、かなり影響を受けているトラックだということが一瞬で分かるだろう。まさにアイドルソングを侮ることなかれ、と言わせるにふさわしい一曲。楽曲やMVからにじみ出る、Happy感が一番の魅力。やっぱりこういうところが、ソウルやディスコの良いところ。この曲を聴いたあとにはMFSBとかめっちゃ、聴きたくなる。

■Maison book girl / cloudy irony

ちょっとダウナーな空気感がBiSに通ずるところがある。実際にBiSの解散コンサートで元メンバーのコショージメグミを中心に結成されたMaison book girl。楽曲のクオリティの高さも然ることながら、歌詞の文学性や抽象性にも特筆すべき点がある。例えばこの曲、cloudy ironyでは、

「晴れた朝の匂いがまだ、傷を深くえぐる 最後の音楽がまだ、続いているのかな

体を重ねる度に何かを失って 始まりの日はいつでも美しい雨が降り注ぐの」

というサビが繰り返されるが、この一見すると中二病的な歌詞(揶揄的な意味ではなく)の中にも、映画のエンドロール直前の取り残された悲壮感というか、やりきれなさみたいなものが見え隠れして、個人的には特異なアイドルソングだなと感じた。

そういう意味では、フィロソフィーのダンスが目指すソウルフルな明るさとは真逆の方向を行くのが、Maison book girlだと思う。

■callme / To Shine 

2015年にDorothy Little Happyから派生したcallme。リニアモーターガールからポリリズムのあたりのPerfumeを思い出させるMVで、楽曲自体もPerfumeなどヤスタカ系と、かなり似通っているように思える。しかし、なんと作詞・作曲・振付をメンバー自身がセルフプロデュースしている、というかなりレアなグループ。

僕個人としては、Perfumeのトラックがすごく好きなので、音楽からcallmeの楽曲を聴くようになったんだけど、時代的にもうテクノポップアイドルが流行る雰囲気ではないので、今後どういう方向で展開していくのかがかなり気になる。と書いたけれど、久しぶりに最近の曲をチェックしてみたらピアノの音色が特徴的なトラックやavexらしいトラックが増えていたので、少し方向転換したのかな、とも感じた。

 

珍しく今回はアイドルソングを取り上げたが、お気に入りの曲は見つかっただろうか。気になった楽曲があったら、そこから色々と掘り下げてみると面白いかもしれない。

音楽好きでも、アイドルソングには抵抗感を感じる方はまだまだ多いはず。それでも、今のアイドルソングは本当に多種多様だし、BABYMETALの例然り、大きな飛躍を遂げたグループもいる。先入観を持たずに、まずは一度聴いてみるのが一番なのではないか。そこで好きな音楽やグループが見つかったら、もっと好きな音楽が増えて、より楽しくなること間違いない。

【小松菜奈に三戸なつめも】音楽よりMVを見て欲しい!最近気になるMVを厳選してみた

2016年もいよいよ残り数日。年末休みに入った方も多いのではないだろうか。

年末年始となれば、意外とやることがなくて手持ち無沙汰になってしまうことも。そんなわけで今回は作り込みの面白いMVをいくつか紹介する。

三戸なつめ / おでかけサマー

Perfumeきゃりーぱみゅぱみゅでお馴染みの中田ヤスタカプロデュース、三戸なつめが夏にリリースした楽曲。リリースと言ってもこの曲は、殺虫剤の広告用に書き下ろされた楽曲のようで、CDや配信はされていない。しかし、僕個人としては今までの三戸なつめのMVの中で一番好印象を抱いた。

このMVでの三戸なつめは本当に可愛い。可愛いと一言で言ってしまえば身も蓋もないが、彼女のナチュラルな表情が垣間見れるこのMVはわりとイロモノ的印象を抱かせる他のMVと比べると、幾分彼女の魅力を引き立てているように思える。映像全体として見ても、夏色全開という感じで水色や黄色などのカラーで仕上げられており、ふんわりとした印象を抱かせる。

tofubeats / STAKEHOLDER

後述するBEAMSの東京カルチャーシーンを振り返るビデオにも登場するトラックメイカー、tofubeats。楽曲自体は、だいぶ前からアルバムで聴いていたのだが先日たまたまMVを見てみたところ、驚き。「なんか、やべぇなこのMV」というのが正直な感想だ。実に表現力のない言い方だが、だって事実「なんか、やべぇ」のだ。

食べ物やモノを躊躇なく破壊していくHow to Basic的な狂気性すら感じる。あるいは、何かフェティシズム的なヤバみもある。僕はこの類の動画があまり好きではないけれど、ストレスが溜まっている人にとっては、すっきりする動画かもしれない。ただ、MacBookがぶっ壊される映像を見るとMac好きとしてはいたたまれない…壊すくらいなら譲って欲しい。 

■never young beach / お別れの歌

never young beachの新曲。正直、この曲自体はそれほど僕の好みではない。けれど、MVということだけで言ったらなかなか斬新なつくりをしている。まずは、縦型MVであるということ。はじめからPCではなくスマホで見られることを想定しているのだろう。次に、映像自体をおそらくiPhoneのようなスマホで撮影しているのではないだろうか。ハンディーのため手ブレが多いが、それ故にハンドメイド感というかリアリティが格段に増している。

だから、まるで小松菜奈の彼氏であるかのような錯覚にとらわれるかもしれないーいや、むしろ作り手側はそれを期待しているといえる。にしても、小松菜奈はアットホームな雰囲気も、モードな雰囲気もこなせる、多彩な女優だなとつくづく思う。

BEAMS / 今夜はブギー・バック - TOKYO CULTURE STORY

BEAMSが東京のファッションと音楽のカルチャーシーンを振り返る目的で制作したビデオ。ビデオの中で一貫して歌われているのは、小沢健二ー東京カルチャーシーンを語るには欠かせない人物ーの「今夜はブギー・バック」だ。例によって、ここでも最後に小松菜奈が出ている。小松菜奈は人気だな、と読者は思われるかもしれない。何のことはない僕が小松菜奈を好きだから、2回も同じ記事中に出しているのではないかと思う人もいるかもしれないが、まあそれも間違いではない。半分くらい当たっているのかも。

僕個人としては、2:01から始まるPizzicato Five野宮真貴による渋谷系、2:45からのSUPERCARのあたり、3:21からのクラムボンのあたり、4:12からのtofubeatsと仮谷せいらのあたりが好みだ。簡単に言えば、フレンチポップ系とエレクトロニカが好きだということになりそう。

年末年始もこんな感じでMVでも見ながらゆっくりと過ごしたい。

「星野源」という現代の希望: なぜ星野源はこれほどまでに愛されるのか

最近星野源こと、源ちゃんのエッセイ2冊を立て続けに読んだ。もちろん源ちゃんの楽曲はだいぶ前から聴いていたし、そこそこ好きな曲もあったのだけれどエッセイを読もうと思うほどの熱烈なファンではなかったのだ。

それが先日、いつものように本屋さんめぐりをしているときに(これは僕の趣味の一つでもある)ふと気になって手にとってみたのが彼のエッセイ。「そして生活はつづく」だった。

そして生活はつづく (文春文庫)

そして生活はつづく (文春文庫)

 

薄いし値段も安かったので中身をほとんど確認せずに購入。正直それほど期待はしていなかったのだが、これが良い意味で裏切られる。

なんでこんなに面白いの?ミュージシャンだよね、源ちゃんって…。

ミュージシャンだからとタカをくくっていたのかもしれない。文筆家ではないのだからそんなに面白い文章は書かれていないだろう、と。でも彼はシンガーソングライターだ。歌詞を書いている。よくよく考えれば文筆家なのだ。

それが理由かは定かではないが、本当に面白くて読んでいる間中笑いが止まらなかった。1万円もする高級箸を買ってしまった話だとか、とんでもないタイミングで襲われる羞恥極まりない腹痛の話、口内炎治らなくて痛いよ的な話、そして幾度となく繰り返される下ネタ…笑

どれもくだらないと言ってしまえばくだらない。というか、だいたい全部くだらない(笑) しかし、そういうくだらなさがエッセイの魅力なのだと僕はこのとき痛感した。

心を揺り動かされるようなアドベンチャーや恋愛の物語、世界を舞台に繰り広げられる壮大な物語が読みたいときもある。でもエッセイはそんな類では決してない。作者の日常にあるありふれた物語が綴られるのがエッセイだ。

どんなに有名な芸能人でもアーティストでも、結局は一人の生身の人間だ。僕らが日頃経験するようなバカバカしくてしょうがないようなこともたくさん起こる。そんなことを面白おかしく書いているエッセイは本当に愛おしくて、楽しくて、何といっても素敵なのだ。

そんな素晴らしいエッセイだった、星野源の「そして生活はつづく」。

あまりに面白かったので、早速Amazonで新しい作品である「蘇える変態」の方も買ってみた。何とも奇抜なタイトルだが、インパクトがあることに疑いようはない。

蘇える変態

蘇える変態

 

そしてこちらも相変わらずの素晴らしい出来。前半が「そして生活はつづく」と同様に日常の話、そして後半では彼が経験した病との闘病日記が書かれている。ただ闘病日記と言っても一般に予想するような重苦しいものではない。ただ、明るく書かれた文面を読んでも相当苦しかったし辛かったのだろうと容易に想像できる。しかし、それを面白おかしく、そして相変わらずの下ネタを交えて書く源ちゃん。その才能に脱帽だ。

そしてこの2冊を読み終えたのちに彼のつくった楽曲を聴いてみた。

 

うん、違う。今までと明らかに違うように聴こえてくる。本当に。

 

彼が本当に辛くて辛くて我が身を投げ出したかったほどであろう闘病生活を終え、苦しみを味わい尽くした人間がつくった音楽。そんなことを考えるだけでギターの音も、彼の声も、ピアノの音もまったく違って聴こえてくる。

歌詞だってそうだ。その痛みを知っている人間だからこそ書ける歌詞。そういうものはきっとあると思う。もちろん彼はそれを面白おかしく書いたりする人だから、そこに悲痛さや悲壮感はない。でもその苦しみを超えた先の突き抜けた美しさや素晴らしさが彼の曲にはあると強く思う。

そして、僕はこの2冊を読み終えた頃には「星野源」という一人の男をすごく尊敬していた。僕が思うに、彼の最大の魅力はその飾らなさと正直さなのではないだろうか。下ネタもガンガン言う。恥ずかしくて隠したいようなことでさえ、エッセイで赤裸々に綴っている。

今世の中の多くの人たちは僕自身を含め、自分をより良く見せよう、自分をブランディングしようと必死だ。インスタ(Instagram)に投稿するためだけにインスタ映えするスポットに出掛けて写真を撮りまくる人までいる。就活ではマニュアル化された受け答えが見透かされ、よりオリジナリティを持った差別化された答えが要求されている。留学、学生団体、インターン…様々な言葉が踊る世の中だ。

そんな中で彼は何も隠そうとしていない。自分の恥ずかしいところや触れられたくないところまで臆することなく曝け出している。彼は裸一貫の表現者のようなものだ。

そんな彼の姿勢を見ていると自分をいかによく見せるか(魅せるか)に躍起になっている多くの人たちは彼に憧れを抱くのだ。そんな彼の素直さをみんなが肯定して、飾らないで生きられる世の中が来たらどれだけみんなにとって幸せだろう。そんなことを源ちゃんを見ていると感じてしまうのだ。ちょっと話が大きくなってきてしまったけれど。ちょっと拡大しすぎじゃないか、おい!って言われそうだけど。まあまあそこは大目に見て欲しい。

つまるところ星野源は「現代の希望」なのだ。今逃げ恥のドラマでも彼は大人気。音楽も人気絶頂だし、ファンもたくさんいる。なぜ彼がこれほどまでに愛されるのか。理由は上の説明を読めば自ずと分かるだろう。

君の名は希望」という曲が乃木坂にあったが「星野源は希望」と言っても差し支えないのではないか。

生きづらい世の中で星野源は、今日も僕らのかすみがちな明日を照らしてくれることだろう。

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